CTでは造影剤を使って検査する場合があります。そういうときはその場であたしたちが静脈をぶすりとやるわけです。が、なかにはか細い血管の人もいるし、脂肪の鎧に血管が埋もれている人もいます。そんな患者さん相手でも、速やかに血管を確保し、安全に造影剤を注入するのがうちの病院におけるCT担当医の使命です。
使命とはいえ100%遂行するのは到底無理な話で、たまには失敗もします。最初はこっちのウデの問題だったんですが、最近では相手(血管)が原因のことが多くなってます。検査のためとはいえ、失敗が重なって3回くらい刺されてると怒りだす患者さんもいます。まぁ当然痛いしね、仕方ない。でもこっちも依頼されたからには検査しないわけにいかないので、だんだん不穏になっていく空気を誤魔化しながら、なんとかしようと頑張ります。
自分が担当医として毎日診ている入院患者さんが相手なら話はまだ簡単です。日頃の信頼関係があれば、患者さんだってある程度までは我慢してくれます。でも、来られる患者さんの多くは3ヶ月とか半年とか1年に1回の検査です。前回と担当者が同じだからってほとんど覚えていらっしゃいませんし、こちらもよほど印象的なひとで無い限り記憶にありません。「初めまして」の状態からスタートです。
現在内科からお勉強に来ている先生に、そういう状況がなかなか理解してもらえないのが非常にもどかしく思います。血管に針を入れることが目的のすべてではない、ということが伝わらなくて悔しい、本日最後の検査でした。